naka-maの心言・2

http://naka-ma.tea-nifty.com/butubutu/ 「naka-maの心言」続編です

デジカメと星-2(1999)

デジカメと星-2

冷却CCDカメラは天体写真分野を席巻したようになっていて、銀塩で残っているのは中判で広視野の星野写真くらいである。まだまだ銀塩にも価値があると信じたいがともかく雑誌に出ているほとんどがそうなのだ。

さて、惑星写真はかつてはTP2415に水素増感というフィルムが最も使われていた。これはコピー用超微粒子フィルムが赤外側に感度向上したものである。太陽光の反射光である惑星には好都合なわけだ。冷却CCDでは特に赤外側に感度が高いこと、階調が豊富なことが有利である。しかし惑星写真の場合、冷却CCDの冷却効果があらわれる1秒以上の露出は不要な場合が多く(この高感度が大気の揺らぎを受けず有利)全画素読み出しの普通のCCDデジタルカメラでも良いのではないか、というのが僕の考え。

また恒星のような点像と違って、惑星は強拡大で撮影するが、もともと惑星の直径が、大きい木星の場合でも45″程度で、口径15cmの望遠鏡の分解能は0.8″程である。分解能の定義は2つのエアリーディスクが近接して並んだ時の回折の第一極小が隣のピークと並ぶ時となっているが、早い話、その谷間がピークの85%になっているときである。この間隔にいくつドットが並べば違和感なく見えるか、というのがCCDで写す時の問題になる。

世間一般の経験的にSBIG社ST-6という冷却CCDカメラで写した木星は必要十分な解像度とするとST-6が375x242ピクセルであるから、(ST-6のCCDは780x488で2x2ピクセルを1ピクセルと扱っている)短辺方向の1/2程度に拡大しているとすると242/2=約120ピクセルとなる。1ピクセル=0.375″、0.8″間に2.13ピクセル並ぶことになる。ST-6は9万画素であるからデジカメの200万画素などは惑星に対しては過剰とも言える。しかし分解能に対し滑らかな画質のためには2.5ピクセルではこころもとない。せめてこの倍は必要ではないか。とすると40万画素。まわりくどい言い方になったが、長焦点強拡大撮影の場合は、望遠鏡の分解能から言って銀塩は無駄に粒子があって、CCD40万画素以上あれば十分と言える。

そうなるとデジカメと冷却CCDの戦い;)となるが、分解能はデジカメの圧勝だから観点として感度と階調性になる。話としては冷却CCDの量子化効率は50%、フィルムは0.8%程度で60倍とか、実測で10倍とかいわれている。ところがデジカメの感度はISO100程度と低い。冷却CCDとの差がなぜ生じるのかよくわからないが、ひとつは1/2インチサイズに200万画素を押し込んだため1ピクセルの大きさが小さいことが考えられるが、では35万画素のデジカメの感度がISO6000!という話も聞いたことはない;)。
また冷却CCDST-6は16bit65536階調に光量に対して正確に比例して反応する。もっともこのために解像度にくらべデータ容量が極端に大きくなるが。デジカメはCoolPix950でも白飛びがどうのとか言われるくらい意気地がない;)。ただこれはデジカメ内で画像処理してしまうためであろう。そもそもパソコンでは8bit(1色あたり)であるし、なまじ16bitなんて出すと、おそろしくねむい(コントラストのない)画像となる。一般写真であっても少しねむい方が後処理しやすいのだが、どこだかのフォーラムの自称大家;)がCoolPixの色は青いだのねむいだの言ってメーカーもそれに迎合したりするからまったく困ったものだ。
つまり今のデジカメはコンパクトカメラやレンズ付きフィルムのように初心者、無精者相手だから写真を趣味にしている人は手を出しにくい。デジカメも高級1眼レフタイプは生(RAW)データが出せるものも出てきたから楽しみではあるのだがいかんせん手が出る値段でない。

ということで惑星写真には今のデジカメはまだ不向きだと思う。が、CCDは惑星写真に適しているので今後に期待ですか。最後に今後出る一眼レフデジカメではCCDがAPSフィルム並みになったことはカメラレンズにとっては非常に良いのであるが、こと惑星写真では小さいCCDが有利である。それは望遠鏡の拡大率を低くできるので、実質の感度が上がったことになるからである。こう考えると一般撮影も考慮して、以下の仕様のデジカメが欲しい。

・レンズ交換可能、一眼レフマウント互換
・1/2インチサイズ、130万画素CCD(ほんとは50万画素で十分だけど一般写真が困るし;)
・生(RAW)データ出力可能、12bit以上の階調(PhotoShopはこれが限界なのだ。Winにはあるけど;(
・10万円以下(これ大事;)

今さらこんなの出すとこはないだろうなあ。図面描くからだれかつくんないかな;)

1999年7月12日、13日訂正